書いた順番はばらばら。新宮家母涼とユゴ恵とグリカツと涼←隼人とかなんとかもごもご。






の法則



「ねえーいいでしょー?」
「うーん、そうだなあ…」

よく晴れた、暖かい日である。高槻涼は、新宮家の座敷に座り、新宮家の人々の洗濯物をたたんでいた。

「ヒナちゃんもアユちゃんも、みーんな持ってるんだよー」
「そうかー」
「そうだよ。わたしだけ持ってないの」

 新宮家のひとり娘のキャロルは、その洗濯物をたたむ涼に、いわゆる「おねだり」の真っ最中である。
後ろから涼の首を抱き締めるように腕を垂らし、体重をかけ、不貞腐れたような声でこの状態をかれこれ10分以上も続けているのである。

「隼人はなんて言ってるんだ?」

アルのアンダーシャツを慣れた手つきでたたみながら、涼本人もなかなか折れないでいた。第一ここは新宮家であって、そもそもこういうことを涼に掛け合うのはおかしいのである。

「…ダメって…あ、でも涼兄ちゃんが良いってゆったら良いって!」
「じゃあ駄目だなあ」
「えーっ」

 そして現時点で、キャロルも隼人も涼も、十三でさえこの状況になんの疑問も抱かないでいるのであった。そうしてずっと新宮家は安泰で、キャロルのおねだりは堂々巡りなのである。





●2006年11月19日  何かありますよねこういう会話。お父さんが良いって言ったら良いけどーとかいって…。










 ビルの屋上から街を見る。見る。人、車、ビル、人人人。
人ばっかり。
何か無いかと目で探る。やっぱり人、人、人。
ああ、大事な人に会いたいわ。いつかそんな人に会いたいわ。
ビルのギリギリ。屋上の。ギリギリのところに、ローファーで立つ。
ぱら、ぱら、と砂が落ちる。コンクリートのくず。
地上のアスファルトに、空き缶が落ちる。いけないんだ、ポイ捨て。
 ああ、誰かに会いたいわ。わたしを普通の子扱いしてくれる人。一緒に買い物をしてくれる人。わたしと一緒に、雑誌を見てくれる人。
落ちたら、痛いかしら。痛いわよね。決まってるわよね。きっと周りの人が驚くのよね。
ああ、誰かに逢いたいわ。
 良すぎる目は、何もかもを見透かしてしまう。それはとても便利で、とても寂しいもの。

「…い、恵、」

名前を呼ばれていることに気が付いて、急いで振り向く。

「どうしたの、恵」
「ユーゴー。ううん、ちょっと、考え事」

 そうですか、と微笑む。彼女は可愛い。すっごく。
窓際から外を見ていた久留間恵は、昔、まだ東京の学校に通っていた頃のことを思い出していた。よく時間も遅くなり、日も暮れて暫くした頃にビルに登った。どこかの事務所とか、パソコンとか英会話の教室とか、そういう他愛のないものの入ったビルだった。
 そこからよく、街を見下ろした。ネオンや電球や看板や、車のヘッドライトがうるさい街中を、自分のARMSで見下ろした。好きだった、訳でもない。しかし、なぜか来てしまった。
人を、探していた。
誰か、わたしと本当に仲良くしてくれる人。恵は、口では必要ないと言いながら、心中ではそれを強く熱望していることに気が付かないような、人間ではなかった。
仲間なんて要らないわ、でも、友達が居たらな。
 街中に出てみても、ファッション雑誌をめくったり彼氏と中身のない会話をしたり、携帯電話をいじっている同じ女子高生を見て、「誰のおかげでそんな平和な生活が遅れてると思っているの」と毒づくこともあった。それでも、本当はそれが羨ましかった。それが分かっていたから、どんどんと離れた。わたしは、あんなばかな子たちとは違う、といつも思った。悔しかった。

「…ユーゴー、あなた聞かなくても分かるじゃない」
「ばれちゃった」
「ばれるも何もないでしょ」
「恵、わたしが、わたしがなるから」
「……うん、そうね。そうよね」

ねえ、羨ましいでしょ。わたし、今、親友が居るの。






●2006年11月16日 
アニメのユゴと恵ちゃんを書いてみたかったんだけどユゴの口調が最高にエセくさい。









いひと



 まったく気が付いていないわけではなかった。それでもやめられなかったのかもしれないし、止めなかったのかもしれない。それは良く分からないし、どうだって良いことだと思っていた。

「ああ、駄目だよカツミ」

グリーンはよく、そんなわたしの仕草を注意した。歯にも、爪にも、指にだって悪いから、と。まったく気がついていない訳ではなかったのかもしれないが、言葉で指摘されて始めて輪郭を帯びたような気がした。

「ああ、そうね。わたしったら」

 なんとなく疎ましくて、簡単に返事を返す。ため息が聞こえた。わたしの左手の親指の爪は、もうほとんど無かった。たまに気が付くと、口の中に自分の爪が入っていることがある。それは気持ちが悪いし、止めたかった。それでもなぜか止められなかった。それが癖というもの。
 いつから始まったものなのか分からない。本を読んでいたりするときに、どうやらしているらしい。しかし明白に、いつからの癖なのか分からない。此処に着てからついたものなのか。それとも此処に来る前からついていたものなのか。
 だったら、あの幼馴染は知っていたのかしら。わたしに、そんな癖があるってこと。耳の奥で声を反芻する。聞きなれた声で、わたしを注意する。だめだろ、爪噛んだら。歯に悪いんだぞ、って。それとも知らないかしら。じゃあ、次に会うときまでに、なおしたほうがいいかしら。それとも、なおさずにいたほうが良いのかしら。

「カツミ、ほら、まただ」
「今のはわざとよ、グリーン」

後ろで、盛大なため息が聞こえた。






●2006年11月05日  
グリカツすきー。ショートヘアかっつんかわゆいよね。




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