顔を合わせるごとにいつも喧嘩ばかりしていた。

 その度にいつもいつも「甘ちゃん」だの「ガキ」だの「チビ」だのと言われ、こちらもそれに応戦して、ついには掴み合いになることもしばしばだった。

 同じ任務に就くときでさえこんな状態が続くのではないかと、仲間や山本さんに危険視されたが、なぜか任務に関してはひどく気が合った。あっちへ動けば、次の瞬間、相手は思ったところに動いている。
 お陰で何だかんだ言っても、助けられることは多かったし、もし相手が居なければ死んでいたかもしれないという局面が何度もあった。

 それに、気がつくとよく相手を見ていた。相手はよく人目をひく容姿をしていた。長く伸ばしてひとつに束ねた髪はしなやかだったし、鼻筋は美しく、青く透き通った瞳には知らず知らずのうちに何度も目を奪われた。

 憎まれ口に腹が立った。それでも、そんな言葉でさえも語尾の響きが好きだった。自分は煙草の臭いが嫌いだった。だけど彼のものは別だった。長くて白い指にいつも触れてみたいと願っていた。

 だけど言えるはずなかった。伝えることさえ叶わないことは、きっと出会う前から決まっていた。オフで会った時でさえ喧嘩ばかりだった。憎まれ口は絶えなかった。だけど、相手はいつだって綺麗で、わからないくらいのところで優しかった。自分は男だった。そして相手も、男だった。

 御神苗優は、ジャン・ジャックモンドが、気になって、仕方がなかった。





 初めて同じ任務に就いたとき、あの爪の甘さにひどく苛々とした。

 やればどれだけでも出来るくせに、敵であるにも関わらずそいつらに対するひどく甘ったれた考え方がこちらの気に障った。年下のくせに態度はなかなかでかかったし、何よりもああ言えばこう言うで憎まれ口が絶えない。こちらが遊び半分でからかうと、向こうの言い分に腹が立ち、殴り合いになることはしょっちゅうだ。

 そのくせなかなか危なっかしく、放っておけば良いのになぜか気になって仕方がない。一度痛い目にあっても一向に甘い考え方を変えようとはしないし、そしてこちらはまんまと助けてやってしまう。

 だけれどなかなか面白いやつで、戦闘時の動きやらなんやらにかけては気が合った。背中を合わせて戦うのはなかなか気持ちが良い。見ていて退屈のしない奴だと思う。容姿も悪くはない。ばさばさとはしているが手触りの良い髪、唇のかたちはなかなか愛らしい。そして何よりも、普段は間抜け面だが火が点いたときの、あの瞳。よく笑い、よく怒り、よく食う。たまにみせる無防備な子供の表情を見つけては、今頬にキスでもしたらどんな顔をするだろうかと思ったことが何度もある。

 ここまでで驚いたことは自分はどうやら自分の認識以上に奴を見ているらしい。だけどもやつは男であるし、自分も男である。女と付き合うのはワケが違うし、第一そんなことを少しでも口にしたらどんな反応が返ってくるか分からない。

 ジャン・ジャックモンドは、御神苗優が、気になって、仕方がなかった。



 それでもふたりはまだ、しばらくの間、お互いのそれに気がつかないでいるのだ。










●2006年12月14日 
はじめてのジャンおみ。すごい御神苗がジャンのこと好きっぽい感じになってますね。
どっちかっていうと御神苗←ジャンぽいのが好きです えっへへへ…

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